Q=CVとは、ボルタによって発見された電荷と電位の関係です。そう、ボルタとは、化学電池を世界で初めて作ったとされる科学者です。今回は、この関係が発見された当時の時代背景と、電位の概念が誕生するまでを説明します。
ボルタが電気に関する研究を行っていたのは、1700年代のことです。このときまでに、電荷は保存される、という概念は確立されていました。ボルタは電荷に関する知識をベースにしてQ=CVを発見したことになります。
電荷の概念の確立
1745年頃、ライデン瓶と呼ばれる、現在のコンデンサの原型が発明されました。ここから電荷の研究が始まりました。それ以前は、琥珀をこすると静電気が発生する、というように、電気の存在は知られていました。しかし、ライデン瓶は電気を蓄えることができたという点で画期的でした。電気を保存することができないと、ろくに研究することができませんよね。
このライデン瓶を使って電気の研究をしていたのが、凧を揚げて雷が電気であることを確認したフランクリンです。彼のさまざまな実験により、電気がひとつの実体であり、無から発生するのでなく移動するものであることが分かってきたのです。この実態とは、今日でいう電荷です。当時は電荷のことを、electric atomosphere(電気的な大気)などと呼んでいました。目に見えないけど実体はあることから、空気のような存在だったんですね。また、移動するということは、突然湧き出てきたり、消えたりすることはない、と認識するようになりました。すなわち、電荷の保存法則につながる概念です。このような背景のもと、ボルタのQ=CV発見につながっていきます。
静電誘導の発見と検電器の発明
1753年に、静電誘導の発見につながる実験結果が発表されました。この実験はでは、同じ大きさのコルクの球をふたつ用意し、それぞれの球を同じ長さの亜麻の糸で吊り下げたものを使用しました。まず、帯電していないふたつのコルク球を吊り下げると、ふたつのコルクは接触します。このコルク玉に電荷を持つ物体を近づけると、ふたつのコルク玉の表面には物体と反対の符号を持つ電荷が発生します。その結果、ふたつのコルク球は同じ符号の電荷で帯電することにより反発力が発生し、離れるというものです。コルク球の反応により、近づけた物体が帯電しているかどうかが分かる、というものです。静電誘導が発見されたのです。この現象の原理は現在でいう検電器として、物質が電気を帯びているかどうかを判別する機器として進化していきました。
ボルタの検電器と電位の概念の誕生
検電器が進化していく中で、ボルタが決定的な検電器を開発しました。この検電器には、それまでの検電器とは異なる点がふたつありました。
まず、糸とコルク球を軽い麦わらに置き換えて、透明の外装材に目盛りを付けたのです。そう、麦わらを針とするメーター付きの検電器を開発したのです。これは、電気を定量的に測定できる点で画期的でした。
もうひとつ画期的だったのは、電位の概念が組み込まれたことです。それまでの検電器は帯電物を近づけることで静電誘導を生じさせ、それを視覚化していました。つまり、電荷量を測っていたことになります。しかし、ボルタの検電器は、センサに当たる部分が金属であり、帯電物をその金属へ接触させて使用するようになっていました。ふたつの導体をつないで等しくなるのは電位であることから、ボルタの検電器は帯電物の電位を測っていたことになります。
ボルタはここから電位と電荷の概念を発展させてQ=CVの関係を見出すことになります。
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