コンデンサは普段目にすることはあまり無いと思いますが、電気が流れるところには必ずと言っていいほど使われています。通常は電気エネルギーを蓄えることができる電子部品として扱われることが多いですが、電力網のような大電圧がかかるような回路にも使われている、とても幅広い用途に使われている部品です。
電池と同じように充電と放電を繰り返すことができるんですけど、その仕組みは全然違います。なので、動作の仕組みも性能も使いみちも、電池と重なる点がほとんどありません。
コンデンサを分解してみると、誘電体と呼ばれる絶縁体と、誘電体を挟む2枚の電極が出てきます。
この構造を究極に単純化したものが、物理の教科書でおなじみの、2枚の四角い金属板を少し離して対抗させた形です。金属板の間は、真空でも空気でも、電気を通さない物質であれば何でもいいです。このような、電気を通さない物質のことを誘電体と呼びます。誘電体といえる物質には、例えば、ガラスや空気、紙、プラスチック、セラミックなどがあります。
コンデンサを充電すると、誘電体の表面に正の電荷または負の電荷が集まる(帯電と呼びます)ことで、電気エネルギーを蓄えます。コンデンサの充放電は、誘電体表面に電荷が集まり、離れるだけなので、非常に速く進みます。ただし、誘電体の表面を利用するだけなので、電池と比較した場合のコンデンサの充放電容量は非常に小さいです。
コンデンサの種類によっては、端子にプラスとマイナスの区別が無いものもあり、交流回路に使いことができます。
一方、電池を分解してみると、プラス端子側には正極活物質、マイナス端子側には負極活物質と呼ぶ化学物質が詰め込まれています。これらの間には、イオンがプラス側とマイナス側の間を行き来でき、かつ正極活物質と負極活物質が接触しないようにするセパレータと電解液(または固体電解質)があります。それぞれの活物質が化学反応を起こすことで電子を外部へ送り出す、または受け入れることで電気を充放電します。プラスとマイナスの区別が必ずあるので、直流回路にしか使うことができません。
電池の充放電は、活物質の化学反応を伴うので充放電のスピードは遅いです。
ただし、電池は活物質全体が充放電容量に利用されるので、充放電容量は非常に大きいです。
この説明だけではコンデンサを使うメリットはそんなになさそうに見えますが、実はコンデンサに交流負荷を組み合わせると、電池では得られない興味深い作用を得ることができます。この作用が、コンデンサが非常に幅広く使われている理由のひとつになっています。次回以降で、コンデンサのさまざまな特徴について詳しく述べます。
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