今回は、導体がふたつある場合を考えます。ここでは、まず状態1と状態2を考え、重ね合わせの原理によりこれらの和である状態3を考えることで、\(Q=CV\)となることを確認します。
前提条件
導体1の電位を\(\phi_1\)、電荷を\(Q_1\)とし、導体2の電位を\(\phi_2\)、電荷を\(Q_2\)とします。ただし、導体の形状は任意です。
状態1
導体1は電荷\(Q_1\)を与えた結果、電位が\(\phi_1\)になった状態。
導体2は電位が\(0\)(接地)の状態。
状態2
導体1は電位が\(0\)(接地)の状態。
導体2は電荷\(Q_2\)を与えた結果、電位が\(\phi_2\)になった状態。
状態3
導体1の電位が\(\phi_1\)、導体2の電位が\(\phi_2\)の状態。
求めたいのは状態3についてですが、これは状態1と状態2の和になっています。
状態1
導体1において、\(Q_1\)と\(\phi_1\)は比例するので、比例定数を\(C_{11}\)とおくと、
\(Q_1 = C_{11}\phi_1 (C_{11}>0)\)
導体2は接地しているので、その電位は\(\phi_2=0\)となりますが、導体1の影響を受けて\(Q_1\)と反対の符号の電荷\(Q_2\)が生じます。
\(Q_2\)は導体1の電位\(\phi_1\)に比例するので、比例定数を\(C_{21}\)とおくと、
\(Q_2 = C_{21}\phi_1 (C_{21}<0)\)
状態2
導体2において、\(Q_2\)と\(\phi_2\)は比例するので、比例定数を\(C_22\)とおくと、
\(Q_2 = C_{22}\phi_2 (C_{22}>0)\)
導体1は接地しているので、その電位は\(\phi_1=0\)となりますが、導体2の影響を受けて\(Q_2\)と反対の符号の電荷\(Q_2\)が生じます。
\(Q_1\)は導体2の電位\(\phi_2\)に比例するので、比例定数を\(C_{12}\)とおくと、
\(Q_1 = C_{12}\phi_2 (C_{12}<0)\)
状態3
電位の重ね合わせの原理により、\(Q_1\)は状態1と状態2の\(Q_1\)の和となり、\(Q_2\)は状態1と状態2の\(Q_2\)の和になります。したがって、
\(Q_1 = C_{11}\phi_1 + C_{12}\phi_2\)
\(Q_2 = C_{21}\phi_1 + C_{22}\phi_2\)
となります。
ここで、各導体の電荷を\(Q_1 = +Q\)、\(Q_2 = -Q\)とし、\(C_{21} = C_{12}\)とすると、このふたつの式は行列の積の式で次のように表すことができます。
\(\left[\array{+Q\\-Q}\right] = \left[\array{C_{11}&C_{12}\\C_{12}&C_{22}}\right]\left[\array{\phi_1\\\phi_2}\right]\)
ここで\(\left[\array{C_{11}&C_{12}\\C_{12}&C_{22}}\right]\)の逆行列を両辺の左から掛けます。
\(\left[\array{\phi_1\\\phi_2}\right] = \dfrac{1}{\Delta}\left[\array{C_{22}&-C_{12}\\-C_{12}&C_{11}}\right]\left[\array{+Q\\-Q}\right]\)
ただし、\(\Delta = C_{11}C_{22}-C_{12}^2 \neq 0\)とします。
\(\left[\array{\phi_1\\\phi_2}\right] = \dfrac{1}{\Delta}\left[\array{C_{22}Q + C_{12}Q\\-C_{12}Q – C_{11}Q}\right]\)
よって、
\(\phi_1 = \dfrac{C_{22} + C_{12}}{\Delta}Q\)
\(\phi_2 = -\dfrac{C_{11} + C_{12}}{\Delta}Q\)
導体1と2の電位差を\(V = \phi_1 – \phi_2\)とおくと、
\(V = \phi_1 – \phi_2 = \dfrac{C_{22} + C_{12}}{\Delta}Q – \left(-\dfrac{C_{11} + C_{12}}{\Delta}Q\right)\)
\(\Delta = C_{11}C_{22}-C_{12}^2\)より、
\(V = \dfrac{C_{11} + C_{22} + 2C_{12}}{C_{11}C_{22} – C_{12}^2} Q\)
ここで、\(C_{11} + C_{22} + 2C_{12} \neq 0\)として、
\(Q = \dfrac{C_{11}C_{22} – C_{12}^2}{C_{11} + C_{22} + 2C_{12}} V\)
右辺の\(V\)以外は定数なので、これを\(C\)とおくと、
\(Q=CV\)
よって、任意の形状のコンデンサに対しても、\(Q=CV\)が成立します。
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