コンデンサの特徴

コンデンサ

コンデンサの特徴は、なんといっても非常に幅広い定格電圧と静電容量、誘電体の種類と形状の種類にあります。これは、アプリケーションの要求に合わせて開発を進めていった結果といえます。そのため、ひとくちに誘電体といってもその種類によって特徴が大きく異なります。

定格電圧と静電容量範囲

下の図は、現在市販されているコンデンサの定格電圧(横軸)と静電容量(縦軸)の範囲を誘電体の種類ごとに色分けしたものです。静電容量範囲はpF(ピコファラッド)からkF(キロファラッド)まで、定格電圧範囲は数Vから数十kVまで実用化されています。これは、コンデンサが電子回路だけでなく、変電所などの電力用途にも使用されていることを示します。それぞれの誘電体の領域が重なる部分があるものの、ある程度棲み分けられていることがわかると思います。このなかで、アルミニウム電解コンデンサとフィルムコンデンサとセラミックコンデンサは非常に広い範囲を占めています。この3種類は市場に幅広く受け入れられているということです。

図. 主なコンデンサの静電容量と定格電圧範囲

 (出典: EPCI2016)

コンデンサは、静電容量が大きくて定格電圧が大きいものが優れているというわけではありません。例えば、高い定格電圧のアルミ電解コンデンサを低い電圧で使うと、アルミ電解コンデンサの特徴である小型大容量を活かすことができなくなります。また、低い定格電圧の電気二重層コンデンサを高い電圧で使おうとすると、いくつも直列に接続して使うことになり、体積効率が悪くなります。コンデンサを正しく使うには、使用条件に合った定格電圧や静電容量を選ばなくてはなりません。逆に言うと、使用条件に適したコンデンサを開発していった結果、これだけ幅広い仕様のコンデンサが生まれたといえます。

この図の中で、電気二重層コンデンサは、電荷を蓄積する仕組みが他のコンデンサとは大きく異なっています。他のコンデンサが個体の誘電体を採用するのに対し、電気二重層コンデンサは、電極表面の液体中に形成される電気二重層を誘電体として利用します。電気二重層には高い電圧をかけることはできませんが、液体を誘電体とするその特徴から、非常に大きな表面積を持つ材料を電極に使用することができ、コンデンサとしては非常に大きな静電容量を実現しています。このような材料として、一般的に活性炭が電極材料として使用されることが多いようです。活性炭は炭(スミ)ですが、ただの炭とは違います。1gあたりの表面積は2,000m2にも達します。活性炭のかさ密度は、0.3g/cm3という数字もあり、この場合、1cm3の活性炭が持つ表面積は6,600m2を超えます。ちょっと想像しにくいです。

誘電体の種類

コンデンサには各種の材料が誘電体として使用されています。極端な話、静電容量が小さくてもいいなら、真空でもコンデンサになります。電極間距離が0.1mmあれば、電極間に1000V以上かけることができるので、非常にエネルギー密度が高く、また低損失のコンデンサを作ることができます。ただ、真空の保持は容易ではないので、単位厚さあたりにかけることができる電圧は劣っても、比誘電率を真空より大きくすることで静電容量を大きくし、エネルギー密度を大きくできる誘電体材料が開発されてきました。比誘電率が大きければ、同じ体積ではより大きな静電容量にすることができ、また、同じ静電容量であればより体積を小さくすることができます。
誘電体に求められる特性は、おもに高い比誘電率、高い耐電圧、それに低損失です。実用に耐えうる誘電体材料には、紙、プラスチックフィルム、ガラス、マイカ、セラミック、アルミニウム、タンタル、シリコンなどがあります。

・紙
初期のコンデンサには紙が誘電体として使われていましたが、現在は他の材料に置き代えられています。

・プラスチックフィルム
紙の誘電体を直接置き代えてきたのがプラスチックフィルムです。プラスチックフィルムは、特性が長期間安定しているので、幅広い用途に使われています。ただ、プラスチックは耐熱性に難がある以上、高温度環境では使用できません。ただし、近年は耐熱性に優れたプラスチックフィルムが実用化されてきており、この耐熱性という欠点は克服されつつあります。

・セラミック
非常に極端な長所と短所を併せ持った誘電体材料です。概して安い、小さい、高周波対応が長所といえます。これに対して、静電容量が電圧や温度に依存し、劣化も比較的進みやすいのが短所です。とはいえ、これらの短所は改善が進みつつあり、また、短所を上回る長所があるからこそ、これだけ幅広く大量に使用されているのだといえます。

・アルミニウム
材料コストが安いです。また、表面の粗面化処理技術が常に改善されてきたため、小型、大容量、低価格です。ただし、アルミニウムを誘電体として使用するコンデンサの多くは電解液を使用するタイプなので、コンデンサとしては長期の耐熱性や低温特性、漏れ電流などの特性が他の誘電体を使用したコンデンサより劣るという短所も持つこととなっています。

・タンタル
アルミニウムより温度特性や周波数特性に優れます。しかし、損失も大きいという短所を持っています。

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