電場のはたらきをどのようにイメージすればよいか

コンデンサ

電場は目に見えません。しかし、エネルギーを保持したり、電荷間にはたらく力を伝えたりと、電場はさまざまなはたらきを示します。ここでは、この電場のはたらきはどのようにイメージすることができるのか、について説明します。

電場は、伸縮自在なゴムのような膜に例えると、イメージしやすいと思います。この場合、プラスの電荷がある場所は高い方へ膜が引っ張られ、マイナスの電荷がある場所は引く方へ引っ張られます。電荷の大きさが大きいほど、より高く、またはより低く引っ張られることになります。

この膜に電荷量が小さいプラスとマイナスの電荷があると、電荷の間の膜には小さい勾配が発生します。反対に、電荷量が大きいと、膜には大きな勾配が発生します。この勾配の大きさが電場の大きさになり、勾配の方向が電場の方向になるといえます。

静電エネルギーは電場が持つことを計算で示すことができるわけですが、この膜の例に当てはめると、膜を伸ばすのに要した仕事を、膜がエネルギーとして保持しているといえます。したがって、エネルギーは膜全体で蓄えていると見ることができ、静電エネルギーもある点に偏って存在しているのではなく、電場全体に広がって存在しているといえます。

では、電場とは何か、電場はどのようにしてエネルギーを保持しているのか。電場の場は英語で”Field”と書きます。フィールド、つまり草原のような空間を示します。ただ、物理用語としてのフィールドなので、三次元的な空間以外に時間的な空間などもありますが…

ここでの「場」は物理量で、簡単にいうと、考えている空間のどの場所、どの時間でも、場所と時間を決めれば量が決まるというものです。風に例えてみます。風は場所や時間によって、向きも強さも変わります。しかし、場所と時間を指定すれば、風の向きと強さはそれぞれひとつの量に決まります。電場も同じで、たとえ電場が時間的に変化していても、場所と時間を指定すれば、電場の強さと向きはひとつの量に決まります。ただし、ここでは静電場(電荷が増えたり移動したりしない)を考えているので時間的な変化はありません。

場が空間を示すとしたら、電場は電荷により、電荷の周囲に形成される物理的な空間と表現することができます。電荷は、同種の電荷同士は反発し、異種同士の電荷は引き合う、という性質を持っています。つまり、電荷は他の電荷に対して力を及ぼす性質を持っているわけです。では、その力はどのようにして他の電荷に伝わるのか。力が働くことは静電気の実験などで明らかなのですが、目では見えません。その目で見えない力を目で見える形で表現しようとして考え出されたのが電場です。

電場の定義は、電荷にある力が働いたときに、その力を電荷で割ったものとして表現します。つまり、ある電荷をある場所に置いたときに、その場所の電場が分かれば、その電荷が受ける力が分かるわけです。

電荷はどのように作用や力を受けるのか。それを説明するために導入されたのが近接作用です。これは、電荷が受ける作用や力は、その電荷の周囲(すぐ近く) からの影響を受けることによるもの、という考え方です。この影響が次々に伝わっていく媒体が電場であり、伝わる様子を図示化したものが電気力線というわけです。

以上のように考えると、実際には目に見えない電場も、電荷を置くことで騒がしく動く様子が頭に浮かんできます。

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