コンデンサの理論_\(U=\dfrac{1}{2}CV^2\)

コンデンサ

コンデンサの理論で頻出する関係式が4つあります。そのうちのひとつが「コンデンサの静電エネルギーの算出式」です。これを計算を通して説明します。

コンデンサの静電エネルギーとは、極板の電荷がゼロの状態から、ある電荷を蓄えた状態までもっていくまでに、コンデンサに対して外部からなされる仕事を指します。これは、静電場の中のある点に置かれた点電荷の電位が、点電荷を基準点(無限遠の電位ゼロの点)から電場に逆らってゆっくりとその点電荷がある地点まで移動させるのに必要な仕事に等しいことに似ています。

静電エネルギーを計算する方法には、考え方が2種類あります。ひとつは、あらかじめ\(+Q(C)\)と\(-Q(C)\)に帯電したふたつの極板の間隔をほとんどゼロにしておき、この状態を基準点とします。この基準点から、極板を所定の間隔\(d\)までゆっくり広げていくのに要する仕事を計算することです。もうひとつは、ふたつの極板の間隔を固定しておき、これらの極板がまったく帯電していない状態を静電エネルギー\(U\)ゼロとします。この極板に徐々に電荷を与えていき、それぞれの極板が\(+Q(C)\)と\(-Q(C)\)に帯電する状態まで持っていくのに要する仕事を計算することです。以下ではそれぞれの方法で静電エネルギーを計算します。

極板距離をゆっくり広げる方法

前者の方法で静電エネルギーを求めます。

\(+Q(C)\)と\(-Q(C)\)に帯電したふたつの極板の間隔をほぼゼロ(\(x\simeq0\))にします。\(x=0\)になると、極板間が通電してしまい、極板が帯電した状態を維持できません。つぎに、\(+Q(C)\)に帯電した極板を固定して、\(-Q(C)\)に帯電した極板をもうひとつの極板からゆっくり離していきます。このとき、\(-Q(C)\)に帯電した極板は\(+Q(C)\)に帯電した極板がつくる電場\(\dfrac{1}{2}E\)により、\(-f=-\dfrac{1}{2}EQ\)の力に逆らって、\(f=\dfrac{1}{2}EQ\)(一定)の力で距離\(d\)だけ移動させることになります。これに要する仕事は\(W=\dfrac{1}{2}EQ\cdot d\)となり、これが求める平行平板コンデンサの静電エネルギー\(U\)になります。

\(U = W = \frac{1}{2}QE \cdot d = \frac{1}{2}QV = \frac{1}{2}CV^2\)

ここでは、\(V=Ed\)と\(Q=CV\)を用いました。

これで静電エネルギーの式が求まりました。

極板に徐々に電荷を与える方法

今度は後者の方法で静電エネルギーを求めます。

電荷\(q\)を電位差\(V\)の間を運ぶことを考えます。この電位差の間を運ぶ間に電荷がなす仕事は\(qV\)です。これをコンデンサに当てはめてみます。いま、コンデンサの極板に電荷\(q\)が蓄えられている状態を初期状態とし、ここから極板の電荷を\(dq\)だけ増やすために必要な仕事を考えると、\(dqV\)になります。

初期状態での電場の強さは\((\frac{q}{\epsilon_0 S})\)であるから、極板の間隔\(d\)とから、電位差\(V\)は\(V-Ed\)より、\(V=\frac{qd}{\epsilon_0 S}\)です。これより、微小電荷\(dq\)を電位差\(V\)だけ運ぶ仕事は\(dq \frac{qd}{\epsilon_0 S}\)となります。この\(q\)を\(0\)から\(Q\)まで積分することで、求めるコンデンサの静電エネルギーを計算することができます。

\( \displaystyle \int_0^Q dq \frac{qd}{\epsilon_0 S} = \frac{d}{\epsilon_0 S} \left[\frac{q^2}{2}\right]_0^Q = \frac{Q^2 d}{2\epsilon_0 S}\)

ここに\(Q=CV\)を代入すると、\(\frac{1}{2}CV^2\)となり、求める形の静電エネルギーが求まりました。

ここでのポイントは\(\frac{1}{2}\)が付くことです。電荷と電位差の積がそのまま静電エネルギーになるわけではありません。微小な電荷を移動させたときの仕事が\(dqV\)なのに、微小でない任意の量の電荷を移動させる仕事は\(\frac{1}{2}QV\)になります。これは、電位差\(V\)が、極板に電荷が溜まっていくに従って増加するからです。\(V\)が一定値(例えば、外部から与えたもので、強制的に一定値をとらせる)であって、電荷が移動しても変化しない場合は、エネルギーは\(QV\)となります。

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