理論上、コンデンサに正弦波交流を流すと、電流は電圧に対して1周期の1/4進みます。これを実際に計算したあとで、この遅れをイメージしてみます。
進みの計算
交流電源 (電圧\(v(t)=v_{0}\sin \omega t\)) に静電容量\(C(F)\)のコンデンサが接続されただけのシンプルな回路を考えます。回路に流れる電流を\(i(t)\)とすると、回路に流れる電流は、コンデンサの電荷\(q(t)\)を用いて次の式で求めることができます。
\(i(t)=\dfrac{dq(t)}{dt}\)
電荷\(q(t)\)と\(i(t)\)の関係は、\(Q=CV\)より、
\(q(t)=C \cdot v(t)\)
これを最初の式に代入すると、
\(i(t) = C \cdot \dfrac{d v(t)}{dt}\)
\(v(t)=v_{0}\sin \omega t\) を代入して式を変形すると、
\(i(t) = C \dfrac{d v_{0}\sin \omega t}{dt}\)
右辺の微分を計算すると、
\(i(t) = \omega C v_{0}\cos \omega t\)
この式を\(sin\)で表します。\(\cos \theta = \sin (\theta + \dfrac{\pi}{2})\)より、
\(i(t) = \omega C v_{0} \sin(\omega t + \dfrac{\pi}{2})\)
これで、電圧と電流をともに\(sin\)で表すことができました。
これは、電流は、ある時点での電圧の位相の\(\dfrac{\pi}{2}\)あとの位相を持つことを示します。言い換えると、電流の位相は、電圧の位相を\(\dfrac{\pi}{2}\)先を進んでいると見ることができます。
進みのイメージ
さて、先程の計算の中で、電流と電圧の関係式が出てきました。
\(i(t) = C \cdot \dfrac{dv(t)}{dt}\)
この式を見ると、右辺は電圧を時間微分しています。
正弦波の場合、左辺(電流)が最大になるのは、右辺の\(\dfrac{dv}{dt}\)が最大になるときです。つまり、電圧が増加しつつあり、電圧波形の傾きがプラス側に最大になる瞬間(電圧がゼロ)になる点です。その後、電圧がピークに達して時間変化がゼロになった瞬間、電流はゼロになります。さらに時間が経過して、電圧が減少し、電圧波形の傾きがマイナス側に最大になる瞬間(電圧がゼロ)に達した瞬間、電流はマイナス側のピークに達します。このような関係が続くように電圧と電流の波形を描くと、ちょうど電流が電圧に対して\(\dfrac{\pi}{2}\)だけ進んでいるように見えます。
コメント